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この記事では、2023 年現在の日本FP協会と金融財政事情研究会(きんざい) のそれぞれのFP技能検定3級・2級・1級 (以下「FP3級・FP2級・FP1級」と記載します) の難易度を、合格率の推移や試験内容、出題形式の観点から解説しています。
FP技能検定の難易度
FP技能検定の実施団体には「日本FP協会 (以下「FP協会」と記載します)」と「金融財政事情研究会 (以下「きんざい」と記載します)」の2団体があり、それぞれ試験内容 (試験科目) が異なり、難易度と合格率も異なります。
本記事では2団体それぞれの難易度と合格率の推移について詳しく解説します。
日本FP協会のFP技能検定の難易度
日本FP協会が公表している「FP技能士の取得者数 及び 試験結果データ|日本FP協会」を参考にして各級の合格率をまとめました。
FP3級 (FP協会) の難易度
合格率から見る難易度
日本FP協会のFP3級の難易度を合格率の観点から解説します。
FP3級 (FP協会) の合格率の推移は以下の図表の通りです。
※2020年9月以降の「一発合格率」は公表されていません。
試験日 | 学科合格 | 実技合格 | 一発合格 |
2021年5月 | 83.25% | 76.65% | データ無し |
2021年1月 | 87.92% | 86.53% | データ無し |
2020年9月 | 89.64% | 88.04% | データ無し |
2020年1月 | 85.34% | 79.45% | 76.71% |
2019年9月 | 78.09% | 79.48% | 72.43% |
2019年5月 | 69.07% | 86.42% | 70.61% |
2019年1月 | 74.09% | 83.38% | 73.50% |
2018年9月 | 78.63% | 86.50% | 77.09% |
2018年5月 | 78.92% | 90.47% | 79.11% |
2018年1月 | 80.33% | 89.07% | 79.75% |
2017年9月 | 78.47% | 85.37% | 74.35% |
2017年5月 | 71.87% | 86.18% | 72.04% |
2017年1月 | 67.20% | 85.07% | 67.79% |
平均 | 78.68% | 84.82% | 74.34% |
FP3級 (FP協会) の最近の 10 回分の試験の合格率の平均値を見ると、学科試験の合格率は 78.68 %、実技試験のみの合格率は 84.82 % と非常に高く、難易度はどちらも「非常に易しい」レベルです。
1度の試験で学科試験と実技試験の両方に合格した「一発合格率」の平均値は 74.34 % となり、難易度は「非常に易しい」レベルで、積極的に一発合格を狙うべき難易度だと言えるでしょう。
最新の試験 (2021年5月) の学科試験のみの合格率は 83.25 %、実技試験のみの合格率は 76.65 % で、出題傾向の大きな変化などは無く、今までの試験と同程度の難易度だったようです。
2019年までは実技試験の合格率が学科試験の合格率を上回っていましたが、2020年から逆転してほぼ同水準で推移しています。
一発合格を狙う場合は学科・実技のどちらかに偏らず満遍なく学習を行うと良いでしょう。
試験内容から見る難易度
日本FP協会のFP3級の難易度を試験内容の観点から解説します。
上述した通りFP3級の合格率は非常に高いため、一般に難易度は低いと言われています。
試験で問われている内容はきちんと勉強していないと答えられないものが多く、決して簡単な内容ではないのですが、なぜここまで合格率が高いのでしょうか。
その理由は2つあります。
1つ目の理由は、出題形式が易しいからです。
多くの国家試験や検定試験では四肢択一・五肢択一の設問が一般的で、難関と言われる試験では記述による解答が必要な設問もあります。
一方、FP3級の学科試験問題 (60問) のうち半分の 30 問は「正しいものまたは適切なものには①を、誤っているものまたは不適切なものには②を、解答用紙にマークしなさい。」と出題されます。
つまり、設問の内容が正しいか誤っているか、◯か×かを答えよという2択なのです。残りの 30 問も3択で答える問題です。
このような出題形式では当てずっぽうで答えるだけで正答できる可能性が高く、実力では3割~4割程度しか得点できない人でも合格点を取れてしまうため、合格率が 80 %を超えるという結果になってしまうのです。
2つ目の理由は、試験問題が過去に出題された問題の繰り返しであるからです。
過去問を数年分解いてみると、過去に出題された問題とよく似た問題が出題されていることに気づくでしょう。
FP3級の合格後にFP2級やその先の AFP/CFP/FP1級 まで見据えている方は、教科書などを使ってしっかりと理解をした上で高得点で合格することを目標にされると良いでしょう。
著者がFP3級・FP2級に独学で一発合格した際に使用したお勧めの教科書と問題集、勉強方法は「3級・2級FP技能検定に独学で合格できるお勧め参考書と勉強方法」の記事でご紹介しています。
FP2級 (FP協会) の難易度
合格率から見る難易度
日本FP協会のFP2級の難易度を合格率の観点から解説します。
FP2級 (FP協会) の合格率の推移は以下の図表の通りです。
※2020年9月以降の「一発合格率」は公表されていません。
試験日 | 学科合格 | 実技合格 | 一発合格 |
2021年5月 | 55.61% | 66.67% | データ無し |
2021年1月 | 44.02% | 71.01% | データ無し |
2020年9月 | 49.19% | 57.37% | データ無し |
2020年1月 | 41.86% | 62.61% | 41.90% |
2019年9月 | 43.42% | 62.63% | 43.41% |
2019年5月 | 40.17% | 62.65% | 40.68% |
2019年1月 | 48.26% | 50.31% | 40.39% |
2018年9月 | 39.47% | 50.52% | 36.68% |
2018年5月 | 42.93% | 51.68% | 39.55% |
2018年1月 | 45.63% | 57.45% | 42.16% |
2017年9月 | 47.82% | 58.34% | 44.01% |
2017年5月 | 41.44% | 46.79% | 36.07% |
2017年1月 | 39.43% | 63.87% | 39.36% |
平均 | 44.56% | 58.61% | 40.42% |
FP2級 (FP協会) の最近の 10 回分の試験の合格率の平均値を見ると、学科試験の合格率は 44.56 %、実技試験の合格率は 58.61 % と非常に高く、1科目だけを見た場合の難易度はどちらも「非常に易しい」レベルです。
1度の試験で学科試験と実技試験の両方に合格した「一発合格率」の平均値は 40.42 % であり、難易度は「易しい」レベルで、一発合格も十分狙える難易度であることがわかります。
最新の試験 (2021年5月) の学科試験の合格率は 55.61 %、実技試験の合格率は 66.67 % と非常に高く、ここ数年で一番合格率が高い結果となりました。
学科試験の合格率が常に実技試験の合格率を下回っていることから、一発合格を狙う場合は学科試験の対策を入念に行うと良いでしょう。学科試験の勉強をしっかりと行うことは、実技試験の得点にも繋がります。
試験内容から見る難易度
日本FP協会のFP2級の難易度を試験内容の観点から解説します。
試験範囲はFP3級と大きな違いはありませんが、問われる内容がより詳しいものになっているため、試験問題の難易度が上がっています。
出題形式もFP3級のような2択・3択ではなく、学科試験は 60 問全てが四肢択一の問題となり、実技試験もFP実務寄りの内容になっています。うろ覚えの知識でも合格できてしまうFP3級と比べると明らかに難易度が上がっていると言えるでしょう。
しかしながら、学科試験・実技試験ともに合格率は 40% ~ 70% の間を推移しており、合格するのは難しくない印象を受けます。
FP3級と比べて試験問題の難易度も出題形式の難易度も上がっているのに依然として高い合格率で推移している理由は、試験問題に過去問題の使いまわしの問題が多いからだと考えます。
また、問題的中率が高い予想模試が資格スクールから出版されていることも合格率を押し上げることに貢献しているでしょう。
過去問の対策や上述した予想模試さえ解いておけば合格することは簡単ですが、FP技能検定は必置資格や業務独占資格ではないため、過去問を暗記して合格するだけでは意味がありません。
学んだ知識を業務や日常生活に活かしたいと考えている方は、教科書などを使ってしっかりと理解をした上で高得点で合格することを目標にされると良いでしょう。
著者がFP2級に独学で一発合格した際に使用したお勧めの教科書と問題集、勉強方法は「3級・2級FP技能検定に独学で合格できるお勧め参考書と勉強方法」の記事でご紹介していますので、ご興味があればご覧ください。
FP1級 (FP協会) の難易度
日本FP協会のFP1級の難易度を合格率及び試験内容の観点から解説します。
FP1級 (FP協会) の合格率の推移は以下の表の通りです。
合格率と試験内容から見る難易度
試験日 | 実技試験 | 合格者数/受検者数 |
2020年9月 | 97.70% | 511名/523名 |
2019年9月 | 93.00% | 938名/1,009名 |
2018年9月 | 71.30% | 543名/762名 |
2017年9月 | 88.10% | 662名/751名 |
2016年9月 | 87.00% | 623名/716名 |
2015年9月 | 96.50% | 710名/736名 |
2014年9月 | 97.70% | 716名/733名 |
FP協会ではFP1級の学科試験は実施されず、実技試験(資産設計提案業務)のみ実施されています。
実施時期は年に1回、9月のみです。
合格率にはやや揺れがあるものの、90 %を超える回が何度もあります。
実技試験の合格率だけを見るとFP協会のFP1級は非常に簡単そうな印象を持ってしまうと思いますが、実際の試験内容の難易度は高いです。
FP協会のFP1級(実技試験)の受験者の多くはFPに関する実務経験者か、実務未経験者でもAFP認定研修を修了し、CFP資格審査試験の6科目に合格済みであり、FPの6分野に関する知識量はかなり多い人ばかりです。
つまり、受験者のレベルが高いからこその合格率の高さで、相対的には簡単そうに見えますが絶対的な難易度は決して易しいものではありません。
例えば、医師国家試験の合格率は 90% を超えることがありますが、だからといって「医師国家試験は誰でも受かる簡単な試験だ」などと言う人は居ませんよね。医師国家試験は医学部で6年間勉強してきた人が集大成として受験する試験で、母集団のレベルが高いことは明らかですから。
FP1級もそういう類の試験だということです。
実務未経験者がFP1級の受験資格を得る方法は「実務未経験者がFP1級の受験資格を得る方法と必要な費用を解説」の記事で詳しく解説していますので、FP1級に興味を持たれた方は是非ご覧ください。
ちなみに著者もFP1級を目指して勉強を進めており、AFP認定研修を修了して現在は CFP資格審査試験 に挑戦中です。
金融財政事情研究会(きんざい)の試験の難易度
金融財政事情研究会(きんざい)が公表している「FP技能検定 » 試験結果|金融財政事情研究会(きんざい)」を参考にして各級の合格率をまとめました。
きんざいのFP技能検定は実技試験に複数の分野があり、学科試験と実技試験の試験日が別日になることもあるため、「一発合格率」は計算していません。
FP3級 (きんざい) の難易度
きんざいのFP3級の難易度を合格率の観点から解説します。
FP3級 (きんざい) の合格率の推移は以下の表の通りです。
合格率の推移から見る難易度
試験日 | 学科試験 | 実技(個人) | 実技(保険) |
2021年5月 | 47.81% | 59.63% | 47.76% |
2021年1月 | 63.75% | 58.63% | 56.01% |
2020年9月 | 69.28% | 35.28% | 56.20% |
2020年5月 | 中止 | 中止 | 中止 |
2020年1月 | 65.43% | 50.22% | 48.19% |
2019年9月 | 62.77% | 45.44% | 43.31% |
2019年5月 | 42.76% | 54.35% | 44.85% |
2019年1月 | 51.91% | 56.21% | 39.32% |
2018年9月 | 61.64% | 51.46% | 34.32% |
2018年5月 | 57.84% | 71.20% | 35.69% |
2018年1月 | 65.34% | 67.13% | 42.98% |
2017年9月 | 69.95% | 75.83% | 67.05% |
2017年5月 | 55.12% | 59.69% | 40.60% |
2017年1月 | 48.19% | 74.89% | 48.97% |
FP3級 (きんざい)の最近の 10 回分の試験の合格率の平均値を見ると、学科試験のみの合格率は 58.85 % 、実技試験 (個人資産相談業務) の合格率は 54.96 % 、実技試験 (保険顧客資産相談業務) の合格率は 44.86 % と非常に高く、1科目だけを見た場合の難易度は全て「非常に易しい」レベルです。
最新の試験 (2021年5月) の学科試験のみの合格率は 47.81 %、 実技試験 (個人資産相談業務) の合格率は 59.63 %、実技試験 (保険顧客資産相談業務) の合格率は 47.76 %でした。学科試験は平均よりやや難しく、実技試験は平均並みの難易度であったようです。
実技試験 (個人資産相談業務) の合格率は 30 %台になることがあり、やや難しい問題が出題されることもあるようなので、実技試験 (個人資産相談業務) を受験される方は合格率の低い回の過去問題をしっかりと分析しておくと良いでしょう。
FP2級 (きんざい) の難易度
きんざいのFP2級の難易度を合格率の観点から解説します。
FP2級 (きんざい) の合格率の推移は以下の表の通りです。
合格率の推移から見る難易度
試験日 | 学科試験 | 実技(個人) | 実技(中小) | 実技(生保) | 実技(損保) |
2021年5月 | 33.82% | 42.81% | - | 47.18% | - |
2021年1月 | 23.42% | 36.00% | 64.12% | 54.96% | - |
2020年9月 | 33.10% | 33.71% | 57.54% | 60.73% | 58.62% |
2020年5月 | 中止 | 中止 | - | 中止 | - |
2020年1月 | 28.81% | 33.13% | 55.82% | 45.88% | - |
2019年9月 | 20.97% | 31.72% | 55.49% | 50.80% | 67.22% |
2019年5月 | 20.88% | 25.77% | - | 54.73% | - |
2019年1月 | 31.11% | 36.93% | 33.98% | 40.06% | 50.00% |
2018年9月 | 21.45% | 20.47% | 41.97% | 37.42% | 54.61% |
2018年5月 | 28.24% | 23.87% | - | 45.47% | - |
2018年1月 | 28.53% | 31.72% | 47.56% | 50.20% | - |
2017年9月 | 30.21% | 51.29% | 49.95% | 37.48% | 72.35% |
2017年5月 | 24.85% | 34.12% | - | 41.96% | - |
2017年1月 | 23.13% | 38.90% | 49.12% | 44.03% | - |
平均 | 26.81% | 33.88% | 50.62% | 46.99% | 60.56% |
FP3級 (きんざい)の過去数年の合格率の平均値を見ると、学科試験の合格率は平均 26.81 %で難易度は「普通」レベルだと言えるでしょう。
実技試験の平均合格率は試験科目によって大きく異なります。受験者数が一番多い「個人資産相談業務」の平均合格率は 33.88 %で難易度は「やや易しい」レベルです。
「個人資産相談業務」以外の実技試験の3科目は平均合格率が 45 %を超えており一見すると非常に簡単な試験のように見えます。しかし個人的には、これらの3科目は実務従事者の受験割合が多く、「生保顧客資産相談業務」以外は受験機会が少ないため受験者がしっかりと試験対策をしており受験者のレベルが高いことから、結果として高い合格率で推移しているのだと推測します。
つまり、見た目の合格率ほど簡単な試験ではなく、試験の絶対的な難易度は「個人資産相談業務」と同等かそれ以上の可能性があるため、受験される方は合格率だけを見て油断しないよう注意しましょう。
FP1級 (きんざい) の難易度
きんざいのFP1級の難易度を合格率の観点から解説します。
FP1級 (きんざい) の合格率の推移は以下の表の通りです。
合格率の推移から見る難易度
試験日 | 学科試験 | 試験日 | 実技試験 (資産相談業務) |
2021年5月 | 20.05% | 2021年6月 | 85.27% |
2021年1月 | 9.95% | 2021年2月 | 88.49% |
2020年9月 | 15.01% | 2020年6月 | 中止 |
2020年5月 | 中止 | 2020年2月 | 84.92% |
2020年1月 | 11.81% | 2019年6月 | 85.69% |
2019年9月 | 10.14% | 2019年2月 | 86.46% |
2019年5月 | 11.77% | 2018年6月 | 85.40% |
2019年1月 | 8.45% | 2018年2月 | 86.45% |
2018年9月 | 8.24% | 2017年6月 | 86.50% |
2018年1月 | 14.52% | 2017年2月 | 84.43% |
2017年9月 | 10.41% | 2016年6月 | 82.25% |
2017年1月 | 13.98% | 2016年2月 | 80.99% |
2016年9月 | 4.84% | 2015年6月 | 82.12% |
2016年1月 | 12.37% | 2015年2月 | 79.28% |
平均 | 11.66% | 平均 | 84.48% |
FP1級 (きんざい) の過去数年の合格率の平均値を見てみましょう。
学科試験の平均合格率は 11.66 %と低い数値です。きんざいのFP1級の学科試験は実務経験者しか受験できないにも関わらず合格率がここまで低いということは、試験の難易度は「非常に難しい」レベルだと考えられます。
一方、実技試験の平均合格率は 84.48 % と非常に高いですが、こちらもFP協会のFP1級と同様に、受験者のレベルが高いからこその合格率の高さであり、試験の難易度は決して易しいものではないでしょう。
日本FP協会ときんざいの難易度の比較
各級の合格率の推移と試験内容・出題形式、受験資格などから総合的に判断して、日本FP協会の試験ときんざいの試験ではどちらの難易度が高いのか見ていきましょう。
FP3級の難易度の比較
FP3級の受験資格はどちらの団体も「FP業務に従事している者または従事しようとしている者」とされており、実質誰でも受験できる状態です。
試験形式はどちらの団体も2択・3択の易しいものですが、合格率はきんざいの試験のほうが低い数値で推移しています。
日本FP協会のFP3級の合格率 (抜粋)
試験日 | 学科合格 | 実技合格 |
2021年5月 | 83.25% | 76.65% |
2021年1月 | 87.92% | 86.53% |
2020年9月 | 89.64% | 88.04% |
きんざいのFP3級の合格率 (抜粋)
試験日 | 学科試験 | 実技(個人) | 実技(保険) |
2021年5月 | 47.81% | 59.63% | 47.76% |
2021年1月 | 63.75% | 58.63% | 56.01% |
2020年9月 | 69.28% | 35.28% | 56.20% |
総合的に見て、FP3級はきんざいの試験のほうが難易度が高いと考えられます。
FP2級の難易度の比較
FP2級の受験資格はどちらの団体も同じで、以下の条件を満たす人のみ受験できます。
- 3級FP技能検定の合格者
- 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
- FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者
試験形式もほぼ同じですが、合格率はきんざいの試験のほうが低い数値で推移しています。
日本FP協会のFP2級の合格率 (抜粋)
試験日 | 学科合格 | 実技合格 |
2021年5月 | 55.61% | 66.67% |
2021年1月 | 44.02% | 71.01% |
2020年9月 | 49.19% | 57.37% |
きんざいのFP2級の合格率 (抜粋)
試験日 | 学科試験 | 実技(個人) |
2021年5月 | 33.82% | 42.81% |
2021年1月 | 23.42% | 36.00% |
2020年9月 | 33.10% | 33.71% |
総合的に見て、FP2級はきんざいの試験のほうが難易度が高いと考えられます。
FP1級の難易度の比較
FP1級については、きんざいでは学科試験と実技試験の両方が実施されていますが、日本FP協会では実技試験しか実施されていないため、ここでは実技試験の難易度のみ比較します。
まず合格率を比較すると、両団体の実技試験の合格率にはあまり差がないことがわかります。
日本FP協会のFP1級の合格率 (抜粋)
試験日 | 実技試験 |
2020年9月 | 97.70% |
2019年9月 | 93.00% |
2018年9月 | 71.30% |
2017年9月 | 88.10% |
きんざいのFP1級の合格率 (抜粋)
試験日 | 実技試験 |
2021年6月 | 85.27% |
2021年2月 | 88.49% |
2020年2月 | 84.92% |
2019年6月 | 85.69% |
一方で、試験形式に大きな違いがあります。
日本FP協会の実技試験は机上で問題を解くペーパー形式であるのに対して、きんざいの実技試験は面接形式で行われます。
きんざいの実技試験の面接は、面接開始の 15 分前に渡される「設例」に基づいて複数の審査委員と対面の口述試験が行われます。
面接形式では問いに対する解答を自分の言葉で簡潔かつ分かりやすく説明する能力が求められ、過度の緊張をせずに落ち着きを保って受け答えをする必要があり、知識だけで解けるペーパー形式と比べると難易度は格段に高いと言えるでしょう。
以上、総合的に見て、FP1級の実技試験はきんざいの試験のほうが難易度が高いと考えられます。
なお、参考として、きんざいのFP1級実技試験の実施要領と「設例」を閲覧できる公式ページをご紹介しておきます。
日本FP協会ときんざい、どちらを受験すべき?
FP技能検定を日本FP協会ときんざいのどちらで受験するかは、実技試験のどの科目を受験したいかを判断基準にすると良いでしょう。
日本FP協会で受験できる科目は「資産設計提案業務」のみです。1級から3級までのすべての級の実技試験の科目が「資産設計提案業務」となっています。
きんざいで受験できる実技試験の科目の級別の一覧は以下の表の通りです。
1級 | 2級 | 3級 |
資産相談業務 | 個人資産相談業務 | 個人資産相談業務 |
中小事業主資産相談業務 | 保険顧客資産相談業務 | |
生保顧客資産相談業務 | ||
損保顧客資産相談業務 |
それぞれの科目の出題内容・学べる内容は以下の資格対策スクールの記事が参考になります。
FP技能検定と日商簿記検定の難易度比較
最後に、FP技能検定と同時に取得を目指す方が多い日商簿記検定との難易度の比較をご紹介します。
FP技能検定と日商簿記検定は、対象が企業か個人かという違いがありますが、経営状態や財政状況、家計、資産運用といった「お金を扱う資格」という点が共通しています。
FP技能検定と日商簿記検定の両方に合格することを「ダブルライセンス」などと呼ぶこともあるそうです。
それぞれの試験の難易度について合格率、試験形式、試験内容などを判断基準として比較してみましょう。
日商簿記検定は 2020 年 12 月から「ネット試験 (CBT試験)」の提供が始まり、年に数回の「統一試験 (ペーパー形式)」と並行して実施されています。
本記事での日商簿記の難易度の比較対象はネット試験のみとしています。
なお、記事執筆時点で日商簿記1級はネット試験が提供されていませんのでペーパー形式の試験結果を参考にしています。
難易度比較の参考にするFP技能検定と日商簿記検定の最近の合格率は以下の表の通りです。
※FP技能検定の合格率については、FP2級と3級は一発合格率が公表されていた日本FP協会実施の試験を、FP1級は学科試験と技能試験の両方が実施されるきんざい実施の試験を参考データとしています。
FP技能検定2級,3級 (日本FP協会) の合格率
2017年1月~2020年1月実施試験の 一発合格率の平均値 | |
FP2級 | 40.42% |
FP3級 | 74.34% |
FP技能検定1級 (きんざい) の合格率
試験日 | 学科試験 | 試験日 | 実技試験 |
2021年5月 | 20.05% | 2021年6月 | 85.27% |
2021年1月 | 9.95% | 2021年2月 | 88.49% |
2020年9月 | 15.01% | 2020年6月 | 中止 |
2020年5月 | 中止 | 2020年2月 | 84.92% |
2020年1月 | 11.81% | 2019年6月 | 85.69% |
平均 | 14.21% | 86.09% |
日商簿記検定2級,3級 (ネット試験) の合格率
期間 | 2級合格率 | 3級合格率 |
2020年12月~2021年3月 | 46.60% | 41.00% |
2021年4月~6月 | 44.80% | 46.40% |
平均 | 45.90% | 43.10% |
日商簿記検定1級の合格率
試験回 | 1級合格率 |
第158回(2021.6.13) | 9.80% |
第157回(2021.2.28) | 7.90% |
第156回(2020.11.15) | 13.50% |
平均 | 10.40% |
【3級同士の比較】
3級同士の合格率を比較すると、FP3級の一発合格率 74.34 % に対して日商簿記3級の平均合格率は 43.10 % と日商簿記のほうが難易度が高いという結果です。
FP3級の合格率が非常に高い理由については本記事内でも述べましたが、「◯か×か」形式の2択や、3つの選択肢から正答を選ぶ3択の試験形式は簡単すぎると言わざるを得ません。
試験内容はどちらの試験もその分野の基本的な内容について問われるものです。
3級同士の難易度比較では、日商簿記3級のほうがFP3級より難易度が高いと言って良いでしょう。
【2級同士の比較】
2級同士の合格率を比較すると、FP2級は 40.42 %、日商簿記2級は 45.90 % と同じくらいの合格率です。
ただし難易度を判断する上では、誰でも受験できる日商簿記2級に対して、FP2級は実務経験者やFP3級の合格者などしか受験できないという制限がある中でこの合格率であることを考慮すべきでしょう。
誰でも受験できて受験者数が多い試験は往々にして母集団のレベルが低くなり、合格率が低くなる傾向があるからです。
試験形式は、FP2級は四肢択一の一般的な形式、日商簿記2級は簿記ならではの形式であり、どちらも極端に簡単だったり難しかったりするものではありません。
試験内容はどちらの資格も3級の内容から少し範囲が広く、内容が深くなったものです。
2級同士の難易度比較では、FP2級と日商簿記2級の難易度は同程度と言って良いでしょう。
【1級同士の比較】
1級同士は、筆記試験の合格率だけを比較するとFP1級は 14.21 %、日商簿記1級は 10.40 % と同じくらいの合格率です。
しかしながら、1級同士の比較においても、日商簿記1級は誰でも受験できるのに対して、FP1級は実務経験者やFP2級の合格者だけが受験してこの合格率であることを考慮すべきでしょう。
しかも、FP1級 (きんざい) は筆記試験の合格後に面接形式の実技試験も受験しなければなりません。
試験内容はどちらの資格もその分野についての広い範囲を詳しく問われるもので、生半可な勉強量では合格できない内容でしょう。
以上の点から、1級同士の難易度比較では、FP1級のほうが日商簿記1級より難易度が高いと言って良いでしょう。
【結論】
FP技能検定と日商簿記検定の難易度を合格率、試験形式、試験内容などの観点から比較した結果は次の通りです。
[難しい] FP1級 > 日商簿記1級 >>> FP2級 = 日商簿記2級 > 日商簿記3級 > FP3級 [易しい]
おわりに
本記事がFP技能試験を受験される方の参考になれば幸いです。
受験される皆さんが合格できることを祈っています。