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この記事では、2023 年(令和5年) の電気通信主任技術者試験(線路)に独学で合格するためのお勧め参考書と勉強方法を、伝送交換と線路の両種別を独学で取得した著者の経験を基に解説します。
電気通信主任技術者試験の難易度と合格率の推移は「電気通信主任技術者(伝送交換・線路)の難易度と合格率の推移」でご紹介していますので、併せてご覧ください。
電気通信主任技術者(線路)のお勧め参考書
私が電気通信主任技術者 (線路) の試験勉強に使用した参考書は以下の2冊です。
- 線路設備:電気通信主任技術者試験 線路設備及び設備管理 問題解説集
- 専門(通信線路):(新板)電気通信主任技術者通信線路テキスト
電気通信システムと法規も受験する方にはこの参考書がお勧め
全科目受験もしくはシステムのみ免除という方には、以下の1冊がコスパ最高なので強くお勧めします。
NTTやメーカーが公開している技術資料
参考書ではありませんが、NTT やメーカーが公開している資料は非常に参考になります。
コレを基に試験を作っているんじゃないかな?と思ってしまうくらいに、試験問題についての疑問点を的確に解説してくれています。
検索すればいくらでも出てくるのですが、一例を挙げると以下のような資料。
架空構造物設計技術 第1回 架空構造物設計技術の概要 NTT技術ジャーナル架空構造物設計技術 第2回 架空構造物に加わる荷重 NTT技術ジャーナル架空構造物設計技術 第3回 架空構造物が持つ強度 NTT技術ジャーナル
これらをしっかり読み込んでおけば、架空構造物に関する既出の問題はもちろん、過去に出題されたことのない問題が出題されても対応できるでしょう。
この他にも、画像とともに設備の構造や原理を詳しく解説してくれているメーカーのサイトがたくさんありますので、知識を深めたければ利用しない手はないでしょう。
※上記のリンク先ページは本記事公開時には閲覧できましたが、現在は閲覧不可です。他に役立ちそうなページがあれば改めてご紹介します。
電気通信主任技術者(線路)の勉強方法
今回の試験勉強の流れは以下の通りでした。
- 線路設備まずは線路設備の対策
線路設備及び設備管理 問題解説集を2周。かなり手応えを感じたので、試験直前に再度復習すれば大丈夫だと考え、専門の勉強に移る。
- 通信線路続いて専門 (通信線路) の対策
電気通信主任技術者通信線路テキストのテキスト部分を読まずに章末の問題集だけを2周しました。なんとなくいける気になっていましたが、これが間違いでした。
- 専門 (通信線路) の過去問を解いてみる
過去問2回分を解いてみました。結果は、2回分とも 70 点台と、テキストで類似問題を解いている割には低い点数でした。ちょっと焦ってテキストへ戻ります。
- 専門 (通信線路) のテキストをやり直し
テキスト部分をしっかり読み込み、章末の問題集も解きました。このテキストは通信線路の試験に頻出の技術等に的を絞って掲載されていますので、隅から隅までしっかり目を通しておくべきでした。
今回の試験勉強で一番時間をかけた部分です。この後、再度過去問に挑戦します。
- 専門 (通信線路) の過去問を3年分解く
過去問3年分を解き、毎回 90 点以上取れたので専門 (通信線路) の対策終了。
- 線路設備線路設備の復習と過去問を解く
試験直前です。線路設備及び設備管理 問題解説集をもう1周し、まだ解いていなかった最新の過去問に本番のつもりで挑戦。
90 点以上とれたので、間違えたところを見直して線路設備の対策終了。
勉強の流れは以上で、勉強内容のまとめは以下の通り。
[線路設備]
- 線路設備及び設備管理 問題解説集 を3周(過去問4年分に相当)
- 上記の解説集に掲載されていない最新の過去問を1回
[通信線路]
- 電気通信主任技術者通信線路テキスト を3周
- 過去問3年分を2回ずつ
試験に出る設備や技術を楽に覚える方法
電気通信主任技術者の試験勉強に限ったことではありませんが、私が資格試験の勉強を行う際に実践している方法を紹介します。
楽に覚えるには”急がば回れ”。文字だけでなくイメージも頭に入れる
例えば、次のような問題と解説があるとします。
Q. 次の文章の誤りを正せ。車両が走行する際に生ずる衝撃によるマンホール鉄蓋の跳ね上がり、ガタツキ、蓋鳴りなどに対する防止策としては、テーパ型の鉄蓋と比較して、鉄蓋と受枠との間に隙間が生じにくい落とし込み型の鉄蓋を用いる方法がある。A. 跳ね上がり等の対策は落とし込み型の鉄蓋ではなくテーパ型の鉄蓋を用いる
この問題の解説を読んで、「はいはい、跳ね上がり等の対策にはテーパ型ねテーパ型」と文字だけで覚えて忘れないのならイメージなんてどうでも良いのですが、一度読んだだけでは直後は覚えていてもしばらくすると忘れてしまいます。
この時、「テーパ型マンホール」がどのような構造のものか、なぜ蓋鳴りや跳ね上がり対策に有効なのかを同時に覚えてしまえば、次回同じような問題に遭遇しても自信を持って解答できます。
「テーパ型マンホール」と検索すれば、すぐに次のようなウェブページが見つかります。
ANSL R&D Times 3.テーパ型マンホール鉄蓋の特徴(リンク切れ)
このページを見れば、テーパ型マンホールは噛み込み式の機構になっており上蓋と受枠が一体化する構造のため蓋鳴りが抑えられ、さらにロック機構を備えているので蓋の飛び出しの対策にも有効である、ということがわかります。
※上記のページは現在利用できませんが、同じように画像つきで詳しく解説しているページは複数あります。検索してみてください。
いちいち問題を解く度に検索するなんて一見面倒に見えますが、文字だけでなくイメージを同時に持つことで記憶の定着力が格段に上がります。
私は今回の電気通信主任技術者(線路)に限らず、資格の勉強をする際は必ずパソコンの前で勉強しており、出題される専門用語等をこのように検索しながら勉強を進めます。
略語は全てフルスペルも覚える
これも電気通信主任技術者(線路)に限りませんが、試験勉強で遭遇した略語は必ずフルスペルを覚えるようにしています。
“ADSL” のように聞き慣れてしまっていて、この略語のフルスペルを知らなくても、略語が何を意味するのかを瞬時に思い出せる場合は必要ないのかもしれませんが、新たに多数の略語を覚える場合は略語と同時にフルスペルを覚えたほうが簡単に記憶できます。
[略語 → 意味]のように、略語から意味を覚えようとするのは完全に”暗記”なので覚えるのが大変です。
そこで、[略語 → フルスペル → 意味]という風に覚えると、フルスペルが意味を示していることが多いため、”暗記” ではなく自然に覚えることができます。
電気通信主任技術者の出題内容から例を挙げてみましょう。
信頼性の計算問題でMTTR、MTBFという略語が出てきます。
これらを[略語 – 意味]の形で書くと以下の通りです。
MTTR – 平均復旧時間 (平均修理時間)
MTBF – 平均故障間隔
どちらがどちらか、こんがらがってしまいそうですね。MTBFが…復旧時間?あれ?どっちだっけ?…
では、[略語 – フルスペル – 意味]と書くとどうでしょうか。
MTTR – Mean Time To Repair – 平均復旧時間 (平均修理時間)
MTBF – Mean Time Between Failure – 平均故障間隔
それぞれのフルスペルを直訳すると「MTTR=修理までの合間」「MTFB=故障と故障の間」となりますので、うろ覚えでどちらがどちらか分からなくなるなんてことは無くなりますよね。
※Mean Timeは「~の間、合間」のような意味
もう1つ例として、次のような問題があるとしましょう。
Q. OTDR は反射光を時間領域か周波数領域のどちらで測定する方式か
A. 時間領域
たとえこの問題が初見だったとしても、「OTDR」のフルスペルを覚えている人なら解くことができます。
OTDR は Optical Time Domain Reflectometer の略ですので、Time Domain(時間領域) とついているくらいなんだから時間領域で測定するんじゃないのか?と当たりをつけられるわけです。
この例のように直接問題を解くことに役立つものばかりという訳ではありませんが、略語と意味を無理やり結びつけるより、基となるフルスペルも一緒に覚えたほうが、面倒なようで結果的に覚えやすいのです。これも急がば回れですね。