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この記事では、2023 年(令和5年) 現在の工事担任者試験の種別ごと (総合通信・デジタル通信・アナログ通信) の合格率の推移と難易度を、AI・DD総合種 (現:総合通信) に独学で合格した著者が解説しています。
AI・DD 総合種の合格率と多方面から見た難易度
合格率から見る難易度
AI・DD 総合種の合格率は 20 % 前後で安定しており、難易度は「やや難しい」レベルです。
試験内容から見る難易度
資格名に「工事」とついていることから電気工事士と似たような資格だと思われがちな工事担任者ですが、その出題内容はかなり IT 寄りで、通信技術やコンピュータ・サーバなどに関する横文字が大量に出てきます。
また、計算問題が出題される「基礎」の科目では、単なる電気回路の計算問題だけではなく、電子回路に使われるトランジスタの増幅度の計算問題やディジタル回路 (ベン図・ブール代数など) に関する問題などが出題されます。
一方で、「工事」という単語から連想される「工具や器具・材料」に関する問題はほとんど出題されません。LAN ケーブルや光ファイバーケーブルに関する問題がたまに出題される程度です。
以上のことから、ICT (情報通信技術) やコンピュータ関係が苦手な方が AI・DD 総合種に合格するためには対策にかなりの時間を要するでしょう。
逆に、IPA (情報処理推進機構) が実施する情報処理技術者試験 (基本情報技術者、応用情報技術者など) に合格しているような方なら初見でも解ける問題があるため取り組みやすいでしょう。
工事担任者と電気工事士の難易度の比較
AI・DD 総合種の受験者が同時に持っていることの多い電気工事士資格の筆記試験の合格率は約 60 %、技能試験の合格率は約 70 %ですので、単純に難易度だけを比較した場合、合格率 20 % 前後の工事担任者のほうがかなり難易度が高いことが分かります。
また、試験内容を比べても、「試験内容から見る難易度」の項に書いた通り、工事担任者は電気工事士より幅広い範囲の知識や計算能力を要求されます。
電気工事士の筆記試験で出題される問題の難易度は「第二種電気工事士の筆記試験に独学で合格できるお勧め参考書と勉強方法」で紹介しています。
AI・DD 総合種はいきなり受験しても大丈夫?
「最終的に AI・DD 総合種を取得したいけれど、いきなり受験しても大丈夫?下位の DD 1 種 や AI 1 種からステップアップしたほうが良い?」と悩む方が多いようです。
AI・DD 総合種の受験においては、先に DD 1 種もしくは AI 1 種を取得してから受験する場合と、いきなり AI・DD 総合種を受験する場合では難易度や必要な勉強量がかなり異なってきます。
工事担任者試験に出題される ICT (情報通信技術) に関しては受験者によって予備知識の有無に大きく差があるため、どちらを選択するのが良いとは一概に言えません。
ICT (情報通信技術) に興味があって勉強していたり、電子工作が好きで電子回路やディジタル回路についてはある程度知っているというような方なら、AI・DD 総合種をいきなり受験してもそれほど苦労することはないでしょう。
あるいは、予備知識は全くないけれど記憶力には自信があるという方なら難なく合格してしまうかもしれません。
しかし、横文字だらけの ICT (情報通信技術) や、知識ゼロからでは理解するのに時間がかかる電気・電子回路などが苦手だという方は、無難に DD 1 種か AI 1 種を取得してから AI・DD 総合種にステップアップするのが良いと思います。
まずは過去問を見てみて、どちらのルートを辿るべきか判断されると良いでしょう。
DD 種の合格率の推移と難易度
DD 1 種の合格率は 20 % 台後半で安定しており、難易度は「ふつう」レベルです。
DD 2 種の合格率は 10% 台後半で推移しており、一見すると難しそうに見えますが、これは受験者数の少なさと受験者の母集団のレベルの低さに起因するもので、実際の難易度は「ふつう ~ 易しい」レベルです。この理由についてはこのあと解説します。
DD 3 種の合格率は 40 % 台で安定しており、難易度は「非常に易しい」レベルです。
受験するなら DD 1 種 か DD 3 種。DD 2 種は必要ない
「電気通信工事に関する資格を取ってみたい。でもいきなり DD 1 種は難しいよね?DD 2 種か DD 3 種、どちらを受験しようか?」と悩む方が多いようです。
実際に出題された過去問を見ると、DD 1 種と DD 3 種には差がありますが、DD 1 種と DD 2 種にはほとんど差がないことが分かります。
「やっぱりいきなり DD 1 種は無理だ。でも DD 2 種くらいならなんとかなるんじゃない?」と欲をかいて、DD 3 種レベルの人が中途半端な DD 2 種に出願すると、実際には DD 1 種レベルの問題が出題されて全く解けず不合格という結果になります。
それが、先ほど見た受験者数と合格率の表の DD 2 種の合格率の低さに現れています。
そもそも、DD 2 種って参考書が出版されていないんですよ。受験者数が少なすぎて採算が取れないのでしょう。DD 1 種の 10 分の 1 、DD 3 種の 20 分の 1 程度の受験者しかいませんからね。
出版したとしても、内容はほぼ DD 1 種と同じにならざるをえません。出版社が手を出さない、そんなレベルの種別です。
以上より、受験される貴方自信の持つ予備知識や記憶力、勉強にかけられる時間などを考慮して DD 1 種か DD 3 種のどちらを受験するか判断されると良いでしょう。
AI 種の合格率の推移と難易度
AI 1 種の合格率は 20 % ~ 30 % 台で推移しており、難易度は「ふつう ~ やや易しい」レベルです。
AI 2 種の合格率は 10% 台後半 ~ 20 % 台前半で推移しており、一見すると難しそうに見えますが、これは受験者数の少なさと受験者の母集団のレベルの低さに起因するもので、実際の難易度は「ふつう ~ 易しい」レベルです。
AI 3 種の合格率は 40 % 以上で推移しており、難易度は「非常に易しい」レベルです。
受験するなら AI 1 種 一択。新問も出題されない過去問の使い回し試験
「電気通信工事に関する資格を取ってみたい。でもいきなり AI 1 種は難しい?」と悩む方が多いようですが、AI 種を受験するなら AI 1 種をいきなり受験することをお勧めします。
その理由は、試験対策の容易さにあります。
DD 種の試験範囲である TCP/IP などの分野は毎年のように新技術が発表され、業界の動向も移り変わりが激しいため、毎年新問が出題されます。
一方で、AI 種の試験範囲である「アナログ・ISDN」の分野は新技術どころか、時代はアナログからデジタルに移行しつつあり、ISDN に関しては 2024 年 1月をもってサービスを終了することが決定しています。
一言で言うと AI 種の試験は「枯れて衰退していく分野」の試験なのです。
当然、試験内容に関しても新しい問題などほとんど出題されず、毎回毎回、過去問をちょっと改変したような問題が使い回されている状況です。
以上のことから、このあとご紹介する「合格者の多くが利用している参考書と過去問解説集」を使って勉強すれば、いきなり AI 1 種を受験しても合格するのはそれほど難しくありません。
「AI 1 種なんて必要ない、2 種か 3 種で十分だ」という方には無理には勧めませんが、最終的に AI 1 種や AI・DD 総合種の取得を目指している方は、いきなり AI 1 種を受験するのが良いでしょう。