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電気通信術(電話)の試験は、次に挙げる無線従事者国家試験において通信能力の技量を証明するために実施されます。
- 第一級総合無線通信士
- 第二級総合無線通信士
- 第一級海上無線通信士
- 第二級海上無線通信士
- 第三級海上無線通信士
- 第一級海上特殊無線技士
- 航空無線通信士
- 航空特殊無線技士
この記事では、これらの無線従事者国家試験を受験される方を対象に、電気通信術の電話(フォネティックコード)の送話及び受話の練習方法を解説しています。
私が第一級海上無線通信士試験を受験して合格した経験を基に書いた記事 海上無線通信士の電気通信術(直接印刷電信・電話)の実施の流れを解説! では、試験当日の電気通信術(直接印刷電信・電話)の実施の流れや受験する上で注意すべき点、採点基準などを解説していますので併せてご覧ください。
電気通信術(電話)の試験内容
まずは簡単に電気通信術(電話)の試験内容を確認しておきましょう!
フォネティックコードってなに?
電気通信術(電話)では、通話表・フォネティックコードを用いて送話及び受話の試験を行います。
フォネティックコードとは、アルファベットの「B」と「D」や「M」と「N」のように、発音が似通っている言葉を弁別するため、国際電気通信連合で制定されたものです。
電話越しに相手に 「ALPHABET」 というアルファベットを伝える場面を想像してみてください。
「エー エル ピー エイチ エー ビー イー ティー」と発声すると思いますが、これがなかなか伝わらないものなのです。「ピー」や「ビー」が「ディー」に聴こえたり、「ディー」「ティー」「イー」の区別がつかなかったり、まあとにかく伝わりません。
D を「デー」、T を「テー」と言う人もいるのでさらにわけが分からなくなります。
私は D を「デー」、T を「テー」と言う派です 笑
もし「D(ディー」を伝えようとして伝わらなかったら、「… ティーじゃないよディーだよ!Dragon のディー!」という風に伝えたりしますよね。これが(独自の)フォネティックコードです。
フォネティックコードは無線通信に限らず多くの業種で用いられていて、業界独自のコードなど様々な種類が存在しますが、無線従事者国家試験においては次の表に示す NATO フォネティックコード を使用します。
先ほどの例の「ALPHABET」を NATO フォネティックコードで送るときには「Alfa Lima Papa Hotel Alfa Bravo Echo Tango」と発声します。「アルファ リーマ パパ ホテル アルファ ブラボー エコー タンゴ」です。
それぞれの語の発音記号は Wikipedia の NATO フォネティックコード のページに掲載されています。
趣味でアマチュア無線をする方などはフォネティックコードの送受信に慣れているかもしれませんが、使用しているコードが NATO フォネティックコード に準じていない場合があるので受験前に確認しておきましょう!
フォネティックコードについてはこれくらいにして、電気通信術(電話)の試験内容の話に移ります。
電気通信術(電話)送話の試験
「海上無線通信士の電気通信術(直接印刷電信・電話)の実施の流れ」の記事の内容と被る点が多いので、こちらでは簡単にご紹介する程度にとどめます。
電気通信術(電話)の送話の試験は、渡された問題用紙に記載されているアルファベットを NATO フォネティックコード で発声していきます。
試験時間は2分間で、合計 100 文字を送信します。送信しきれなかった場合は文字数に応じて減点されます。
合格点や採点基準についても 海上無線通信士の電気通信術(直接印刷電信・電話)の実施の流れを解説! の記事でご紹介しています。
送話の試験は試験官と1対1で行われます。
電気通信術(電話)受話の試験
電気通信術(電話)の受話の試験は、テープから流れる NATO フォネティックコード の音声を聴き、解答用紙にアルファベットを記入していきます。
「Alfa Lima Papa Hotel Alfa Bravo Echo Tango…」と聴こえたら「A L P H A B E T…」と記載する、という具合です。
試験時間は2分間で、合計 100 文字を受信します。
受話の試験は受験者全員が一斉に受験します。英語のリスニング試験の実施方法と似たような形式です。
電気通信術(電話)の練習方法
練習用ソフトウェアのダウンロード・設定
電気通信術(電話)の練習には、Windows のフリーソフトを使用します。Mac やスマートフォンしかお持ちでない方は … 別の方法を探してください。
使用するソフトウェアはこちらからダウンロードできます。
ページの一番上の 1. 電気通信術(電話)練習用ソフトウェア PhoneTry Ver1.00 (202KB) をダウンロードしましょう!
2003 年に開発されたソフトウェアですが、Windows 10 でも問題なく動作しました。
ダウンロードして解凍したら、次の画像のファイルが展開されます。
- WAV フォルダ … 音声ファイルが入っています。さわらない。
- PHONETRY.EXE … ソフトウェア本体です。これを起動して練習します。
- PHONETRY.PRM … ソフトウェアの設定ファイルです。発声スピードの調整に用います。
- README.TXT … Readme です。ソフトウェアの使い方や設定ファイルの変更方法などが記載されています。最初に目を通しましょう。
ソフトウェアの設定ですが、デフォルトでは次のように設定されています。
- 1文字の間隔が1秒
- 5文字ごとの ひと呼吸の間隔が 0.5 秒
- 発声文字数 100 文字
電気通信術(受話)の試験は2分間に 100 文字発声されますので、この設定のまま練習すれば試験に対応することが可能です。
私は慣れてきた頃に1文字の間隔を 0.8 秒に変更して練習し、受話の試験本番に臨んだ結果、かなり余裕で聞き取ることができました。
発声速度を変更したい場合は、PHONETRY.PRM の2行目のデフォルトで 010 と入力されている部分をお好みの速度に変更しましょう。0.8 秒にしたければ 008、0.7 秒なら 007 という具合です。
その他の速度もこのファイルを編集すれば変更が可能です。とりあえず最初はデフォルトの設定で良いと思います。
それでは練習を始めましょう。
電気通信術(電話)の練習開始!
ソフトウェアを起動して枠外の白い部分を左クリックすれば「始めます」「本文」の語に続いて単語の読み上げが始まりますので、まずは受話の練習をしましょう。
最初は NATO フォネティックコードが全く覚えられていないでしょうから、画面を見ながらで良いので手元のノート等にアルファベットを記入していきましょう。
ノートには、ソフトウェアの画面と同じように5文字 ×4列 ×5行 = 100 文字 になるようにアルファベットを書きましょう。
試験本番に配られる問題用紙にもこれと同じ並びで解答を記入するので慣れておきましょう。
私は練習し始めは受話ばかり繰り返し行い、フォネティックコードを完璧に覚えられて受話にも慣れてから送話の練習を始めました。
受話の 100 文字の練習が終わると次の画像のような画面になりますので、この画面を見ながら送話の練習をしても良いと思います。
受話 → 送話 、受話 → 送話 を繰り返す感じです。
送話の練習については、無線従事者国家試験の合格者やアマチュア無線家など NATO フォネティックコードが分かる人に聞いてもらいながら練習できれば良いのですが、そう都合よく身の回りに居るわけがないので、ひたすら自宅で発声を繰り返すという方法になると思います。
おわりに
電気通信術(電話)は、練習を始めるまでは「慣れるまでに時間がかかりそうだな」と思っていましたが、やってみたら意外とすぐに受話も送話もできるようになりますので、そう身構える必要は無いと思います。
ただし、受話が出来るようになったからといって送話の練習をおざなりにしてしまうと、試験本番の緊張も相まってミスを連発してしまうかもしれませんので、発声をする練習は十分にしておきましょう。
また、送話の試験は単に本文のアルファベットをフォネティックコードで発声が出来るだけではダメで、「始めます」「本文」「終わり」などの語の発声、本文の発声をミスした場合の「訂正」の方法なども理解していなくてはいけません。
このあたりのことは 海上無線通信士の電気通信術(直接印刷電信・電話)の実施の流れ の記事に詳しく書いていますので、併せてご覧ください。