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この記事では、第一級・第二級陸上無線技術士 (一陸技、二陸技) の試験概要、合格率の傾向や試験内容から見る難易度、独学で合格できるお勧めの参考書と合格者の勉強方法をご紹介しています。
第一級陸上無線技術士(一陸技)の受験記
受験当時、私は建築物の設備管理業者として働いていたので、陸上無線技術士の資格は業務で必要だったわけではありません。
個人的に昔から情報通信技術に興味があったため電気通信主任技術者(伝送交換)という資格を取得し、そのついでに科目免除の制度を利用して第一級陸上無線技術士を受験したという経緯です。
電気通信主任技術者(伝送交換)の資格を保有していれば「無線工学の基礎」と「無線工学A」の 2 科目が免除され、「無線工学B」と「法規」の 2 科目だけ受験すれば良くなるため簡単に取得できました。
使用した参考書は本記事内で後ほど詳しくご紹介しますが、過去問題集と評価の高い問題集、教科書形式の参考書などを使用して、それぞれ何周か繰り返し演習を行いました。
勉強の流れなども後ほどご紹介します。
陸上無線技術士の試験日の 10 日ほど前に、設備管理業界で働く上で必要な消防設備士 甲種1類も受験していたのですが、なんとか消防設備士 甲種1類と第一級陸上無線技術士の両方に合格することができました。
同じ日に合格通知書が届いたので、記念に撮影したのが以下の写真です。
陸上無線技術士(一陸技、二陸技)の試験概要
陸上無線技術士の種別と操作範囲
陸上無線技術士には第一級と第二級の2種別があります。
第一級・第二級陸上無線技術士は、それぞれ一陸技(いちりくぎ)・二陸技(にりくぎ)もしくは、「陸(りく)」を省略して一技(いちぎ)・二技(にぎ)という略称で呼ばれます。
一陸技・二陸技を取得することにより操作できる無線設備の範囲は次の通りです。
種別 | 操作範囲 |
---|---|
一陸技 | 無線設備の技術操作(アマチュア無線局の操作を除く。) 第四級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作 |
二陸技 | 次に掲げる無線設備の技術操作(アマチュア無線局の操作を除く。)
第四級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作 |
第一級陸上無線技術士の資格を持っていれば日本における業務用無線設備の全ての技術操作を行うことができます。
無線設備の操作は通信操作と技術操作に分けられています。陸上無線技術士の資格では無線設備の通信操作は行えず、業務用の全ての通信操作を行うためには第一級総合無線通信士という別の資格が必要になります。
つまり、第一級陸上無線技術士と第一級総合無線通信士の両方を持っていれば、無線局の操作範囲を全て包含しますので、業務用無線設備の全ての通信操作と技術操作を行うことが可能になります。
ちょっと話が逸れそうなので、いくつもある無線従事者資格の上下関係と対象となる操作範囲については別記事にまとめて紹介しようと思います。
試験科目・科目免除
一陸技・二陸技の両種別ともに、次の4科目を受験します。
- 無線工学の基礎
- 無線工学A
- 無線工学B
- 法規
試験問題数と合格点は以下の通りです。
科目 | 問題数 | 問題形式 | 満点 | 合格点 | 時間 |
無線工学の基礎 | 25 | 多肢選択式 | 125 | 75 | 150分 |
無線工学A | 25 | 125 | 75 | 150分 | |
無線工学B | 25 | 125 | 75 | 150分 | |
法規 | 20 | 100 | 60 | 120分 |
科目合格の規定がありますので、一度合格した科目は試験の翌月から3年間は科目免除申請を行うことが可能です。
また、本記事冒頭の「第一級陸上無線技術士(一陸技)の受験記」に記載した通り、電気通信主任技術者の資格を保有している場合は科目免除を受けることができます。
電気通信主任技術者資格には伝送交換と線路の2種別があり、それぞれ免除される科目が異なります。
保有種別 | 陸上無線技術士の免除科目 |
電気通信主任技術者(伝送交換) | 無線工学の基礎、無線工学A |
電気通信主任技術者(線路) | 無線工学の基礎のみ |
陸上無線技術士(一陸技、二陸技)の難易度
合格率の推移から見る難易度
陸上無線技術士(一陸技・二陸技)の合格率は次の通りです。
一陸技と二陸技の合格率 | ||
年度 | 一陸技 | 二陸技 |
平成20年度 | 14.5 % | 17.8 % |
平成21年度 | 20.0 % | 20.9 % |
平成22年度 | 19.8 % | 21.6 % |
平成23年度 | 19.1 % | 21.5 % |
平成24年度 | 21.3 % | 20.1 % |
平成25年度 | 22.6 % | 21.5 % |
平成26年度 | 23.8 % | 25.6 % |
平成27年度 | 26.1 % | 23.9 % |
平成28年度 | 25.7 % | 24.3 % |
平成29年度 | 25.4 % | 25.4 % |
一陸技、二陸技ともにここ数年の合格率は 25 % 前後で「やや難しい」レベルです。
一陸技も二陸技も難易度はほとんど変わらない
上記の合格率の推移を見ても、実際の試験問題を見ても、一陸技と二陸技の難易度に大きな差はありません。
「自分には二陸技で十分で、ほんのちょっとでも簡単な方を受験したい」という場合は無理には勧めませんが、どちらを受験するか迷っている場合は一陸技を受験することをお勧めします。
本当に理解しようとしたらめちゃくちゃ難しいが合格するだけなら簡単
陸上無線技術士の試験の水準は大学の電気工学関係学科卒業程度と言われており、無線工学の基礎、無線工学A、無線工学Bの難易度は無線従事者資格の中で最高とされています。
無線工学Bでは毎回当たり前のようにマクスウェルの方程式や拡張されたアンペアの法則などが登場しますが、こんなものはちょっとやそっとじゃ理解できるはずがありません。
しかしながら、日本無線協会が実施する無線従事者試験は、毎回相当な割合で過去問の類似問題が出題されますので、出題パターンと答えの組み合わせを覚えるだけで合格できてしまうのです。
通信技術に興味がある私としては、理解できる部分は理解するよう努めましたが、どうしても難しすぎて表面的な部分しか見えてこない内容については、受験する時点で理解することは諦めて暗記することにしました。
選択肢なんて無くても正解が導き出せるというレベルにまで理解して合格する場合の難易度は計り知れませんが、「合格する」ことだけにフォーカスした場合はそれほど難しくないというのが実際のところです。
では、私が合格した際に利用した参考書や勉強方法について紹介していきます。
陸上無線技術士(一陸技、二陸技)のお勧め参考書
勉強に使用する参考書
私が第一級陸上無線技術士に合格した際に使用した参考書は次の画像の 3 冊です。
前述したとおり、私は科目免除を申請したため実際に受験したのは「無線工学B」と「法規」のみです。
全科目を受験される方はこれらに加えて「無線工学A」と「無線工学の基礎」の参考書も用意したほうが良いと思います。
【科目ごとの参考書】
陸上無線技術士の勉強方法
私が独学で第一級陸上無線技術士試験に合格した際の勉強方法をご紹介します。
まずは 合格精選340題 の問題集を 2,3 周解き進め、解説が甘くて理解し辛い部分はそれぞれの科目の参考書で調べるという流れで勉強を進めました。
時間をかけてじっくり勉強する場合は、まず参考書に目を通してから問題集にとりかかるべきなのですが、前述した通り私の場合は試験まで約 20 日間しかありませんでしたので、このような方法をとりました。
合格精選340題 の問題集がそれなりに解けるようになったら 過去問解答集 にとりかかります。
この 過去問解答集 も解説が親切ではない部分などがありますので、引き続き参考書を使って不明な部分の知識を補完していきます。
過去問解答集を何周か解き、95 % 以上正答できるようになれば、出題内容の本質を理解しているかどうかはともかく、試験には合格できるようになっているでしょう。
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おわりに
本記事中にも何度も書きましたが、個人的には、一陸技と二陸技の難易度は変わらないと思うので、資格取得後に扱える無線設備の範囲が狭い二陸技をわざわざ受ける意味は無いと思います。
理系大卒レベルという難易度の高い試験ですが、理系科目が苦手な方でも本記事内で紹介した参考書を使ってじっくり勉強すれば確実に合格できます。
陸上無線技術士の資格を取得したい方の参考になれば幸いです。
受験者の皆さんが合格できることを祈っています。