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情報セキュリティマネジメント試験 (以下「セキュマネ」と略すことがあります) は、2016 年(平成28年)に新設されたばかりの資格で、IT関係の資格の中でも情報セキュリティに特化した資格です。
IT関係の入門資格と言えばITパスポート試験と基本情報技術者試験が有名ですが、そこに新たに情報セキュリティに特化した入門資格が加わったことで受験を検討されている方も多いようです。
この記事では、2022 年時点での情報セキュリティマネジメント試験の合格率の推移と合格に必要な勉強時間から見る難易度、基本情報技術者試験と比較した難易度をご紹介します。
- 情報セキュリティマネジメント試験の合格率と難易度が知りたい
- セキュマネ試験と基本情報技術者試験と比較した場合の難易度を知りたい
- セキュマネ試験に独学で合格するために必要な勉強時間を知りたい
独学で情報セキュリティマネジメント試験の合格を目指すためのお勧めの参考書と勉強方法は「情報セキュリティマネジメント試験に合格できるお勧め参考書と勉強方法」でご紹介しています。
情報セキュリティマネジメント試験の合格率の推移
年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成28年春期 | 21,691人 | 17,959人 | 15,800人 | 88.0% |
平成28年秋期 | 22,186人 | 18,630人 | 13,105人 | 70.3% |
平成29年春期 | 21,162人 | 17,045人 | 11,324人 | 66.4% |
平成29年秋期 | 20,907人 | 17,039人 | 8,590人 | 50.4% |
平成30年春期 | 19,300人 | 14,749人 | 7,926人 | 53.7% |
平成30年秋期 | 19,692人 | 15,579人 | 7,220人 | 46.3% |
平成31年春期 | 18,129人 | 13,761人 | 7,148人 | 51.9% |
令和元年秋期 | 18,550人 | 14,355人 | 6,754人 | 47.0% |
令和2年10月 | 9,694 人 | 9,121 人 | 6,071人 | 66.6% |
令和3年春期 | 15,441 人 | 14,089 人 | 7,376 人 | 52.4% |
令和3年秋期 | 16,231 人 | 14,738 人 | 7,949 人 | 53.9% |

情報セキュリティマネジメント試験の合格率は第一回 (平成28年春季) だけ 88.0% という異常に高い数値を記録していますが、その後は 50 %前後で推移しています。
情報セキュリティマネジメント試験の難易度
情報セキュリティマネジメント試験は ITスキル標準「レベル2」
ITスキル標準とは、経済産業省が定めている個人のIT関連能力を職種や専門分野ごとに明確化・体系化しIT人材に求められるスキルやキャリア(職業)を示した指標のことです。
情報セキュリティマネジメント試験は基本情報技術者試験と並んで レベル 2 に位置します。
ITスキル標準 | 資格名 |
---|---|
レベル 4 | 高度情報処理技術者試験(ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト ほか)、情報処理安全確保支援士試験 |
レベル 3 | 応用情報技術者試験 |
レベル 2 | 基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験 |
レベル 1 | ITパスポート試験 |
ただし、同じスキルレベル2の試験であっても、基本情報技術者試験が開発者側を想定した試験であるのに対し情報セキュリティマネジメント試験はあくまで利用者側を想定した試験であるため、試験内容及び試験対策の方向性に違いがあることに注意が必要です。
合格率の推移から見る難易度
情報セキュリティマネジメント試験の合格率は第一回だけ 88.0% という異常に高い数値を記録していますが、その後は 50 %前後で推移しており、試験の難易度は「非常に易しい」レベルだと言えます。
ただし、令和元年秋期の試験では、午後試験の通常の合格基準 100 点満点中 60 点以上のところが 46 点以上に調整されるという異例の措置が取られました。
参考:令和元年度秋期情報セキュリティマネジメント試験午後問題の難易差補正について | IPA
試験時間不足で最後の問題まで解答できなかった受験者が多かったため合格基準調整が行われました。
試験実施団体の IPA (情報処理推進機構) がセキュマネ試験の難易度・合格率をどの程度に維持することを想定しているかわかりませんが、今後もしばらくは難易度の変動が続く可能性があります。
もし同じスキルレベル2の基本情報技術者試験と同程度の合格率に維持することを想定しているならば難化していくことになります。
今後の難易度の動きはわかりませんが、「2人に1人は受かるんでしょ?」と甘く見ていると難化する回に当たってしまう可能性があるのでしっかり対策を行いましょう。
基本情報技術者試験との難易度の比較
情報セキュリティマネジメント試験と同じスキルレベル2の基本情報技術者試験の難易度を比較するとどちらが難しいのでしょうか。
結論から言うと、セキュマネ試験と基本情報技術者試験を比較すると基本情報技術者試験の方が難易度が高いです。
その理由は2つあります。
まず合格率を比較します。
セキュマネ試験の合格率は先ほどご紹介した通り 50% 前後で推移しています。
基本情報技術者試験の合格率は、「基本情報技術者試験の難易度と合格率の推移、勉強時間の目安」の記事で紹介している通り毎回 25% 前後で推移しています。
合格率だけ見ても基本情報技術者試験の方が難易度が高いことがうかがえますが、試験内容にも明らかに違いがあります。
試験内容を比較してみましょう。
セキュマネ試験は、午前試験は情報セキュリティに関する用語の暗記、午後試験は午前試験で学んだ内容を体系立てて理解していけば合格できますので、IT未経験者でも勉強に着手しやすく勉強時間も短期間で済みます。
一方、基本情報技術者試験は、午前試験が用語の暗記でクリアできることは変わりませんが試験範囲が広く対策に時間がかかります。また午後試験には「データ構造及びアルゴリズム」、「ソフトウェア開発 (プログラミング) 」などIT未経験者にとっては対策しづらい必修科目が出題されます。
この違いは、ITスキル標準の節で説明した通り、基本情報技術者試験が開発者側を想定した試験であるのに対し情報セキュリティマネジメント試験はあくまで利用者側を想定した試験であることから来ています。
以上の理由から、セキュマネ試験と基本情報技術者試験を比較すると明らかに基本情報技術者試験の方が難易度が高いと言えるでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験の勉強時間
検索エンジンで「情報セキュリティマネジメント 勉強時間」と検索すると、上位に表示されるサイトはいずれも口を揃えて「未経験者が情報セキュリティマネジメント試験に合格するには 200 時間程度の勉強が必要と言われています」と記載しています。
これを参考にして仮に1日2時間勉強するなら、全くの未経験者の場合は3ヶ月強の勉強期間が必要です。1日1時間なら約7ヶ月強になります。
一方、IT業界での実務経験がある方や基本情報技術者試験などの合格者など、情報処理に関する基礎知識がある方は 100 時間未満の勉強時間で合格できるでしょう。
個人的には、「合格に必要な勉強時間」は個々人の基礎知識や理解力、環境、勉強頻度、勉強習慣の有無など様々な要因によって大きく変動するので気にしても無駄だと考えていますが、気にする方が多いようなので一応記載しました。
なお、言うまでもありませんが必ずしも世間一般で信じられている勉強時間を達成すれば合格できるという訳ではありませんし、5分の1以下の勉強時間でも合格できる人はいます。
情報セキュリティマネジメント試験のお勧め参考書と勉強方法
独学で情報セキュリティマネジメント試験の合格を目指すためのお勧めの参考書と勉強方法は「情報セキュリティマネジメント試験に独学で合格できるお勧め参考書と勉強方法」でご紹介しています。
情報セキュリティマネジメント試験の関連資格・上位資格
セキュマネ試験合格後に情報関係の勉強を続ける方には基本情報技術者試験の合格を目指すことをお勧めします。
午前問題ではコンピュータシステム・など情報技術の基本的な内容に加え、プロジェクトマネジメントや情報システム戦略、経営戦略など、IT人材としての素養を学べます。
午後問題では情報セキュリティ・データベース・ネットワーク・コンピュータアルゴリズム・プログラム開発(プログラミング)など情報化社会の根幹となる技術をテーマにした良問が出題され、システム開発者として身につけておくべき基本的な知識や技術を学べます。
情報セキュリティをより深く学びたい方には上位資格の情報処理安全確保支援士試験もお勧めです。
セキュマネ試験と比較すると学習する内容の専門性が高くなり、一部の設問の解答形式が記述式になるため難易度は格段に上がりますが、合格した暁には情報セキュリティに関するそれなりの知識が身についていることは間違いありません。