情報処理安全確保支援士の難易度と合格率の推移、必要な勉強時間

情報処理安全確保支援士

米造
米造

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IT 関係では初の士業資格として注目されている情報処理安全確保支援士試験 (以下、支援士試験と書きます) ですが、その難易度はどれほどのものでしょうか。

この記事では、2022 年(令和4年) 現在の支援士試験の難易度と合格率の推移、合格するために必要な勉強時間の目安のほか、IPA が実施するネットワークスペシャリスト試験や応用情報技術者試験などの試験区分との難易度の比較について、支援士試験に独学で合格した著者が解説します。

この記事はこんな方にお勧めです
  • 情報処理安全確保支援士試験の合格率の推移を知りたい
  • 支援士試験の難易度を知りたい
  • 支援士試験と他の試験区分との難易度の比較について知りたい
  • 支援士試験に合格するための勉強時間の目安を知りたい

私が支援士試験に独学で合格した際に使用した参考書や勉強方法は「情報処理安全確保支援士に独学で合格できるお勧め参考書と勉強方法」で紹介しています。

また、支援士試験合格後にセキスペに登録することのメリット・デメリットについては「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の維持費とメリットは?」で考察していますので、あわせてご覧ください。

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情報処理安全確保支援士試験の合格率の推移

近年の合格率の推移は以下の表の通りです。

なお、青文字で表示している平成 28 年秋期までのデータは支援士試験の前身である情報セキュリティスペシャリスト試験のデータで、赤文字で表示している平成 29 年春期からのデータが情報処理安全確保支援士試験のデータです。

年度応募者数受験者数合格者数合格率
平成25年春期28,931 人19,013 人2,490 人13.1 %
平成25年秋期27,522 人17,892 人2,657 人14.9 %
平成26年春期27,247 人17,644 人2,543 人14.4 %
平成26年秋期27,736 人18,460 人2,528 人13.7 %
平成27年春期27,339 人18,052 人2,623 人14.5 %
平成27年秋期28,275 人18,930 人3,141 人16.6 %
平成28年春期26,865 人18,143 人2,988 人16.5 %
平成28年秋期23,493 人22,171 人3,004 人13.5 %
平成29年春期25,131 人17,266 人2,822 人16.3 %
平成29年秋期23,426 人16,218 人2,767 人17.1 %
平成30年春期23,180 人15,379 人2,596 人16.9 %
平成30年秋期22,448 人15,257 人2,818 人18.5 %
平成31年春期22,176 人14,556 人2,744 人18.9 %
令和元年秋期21,229 人13,964 人2,703 人19.4 %
令和2年10月16,598 人11,597 人2,253 人19.4 %
令和3年春期16,273 人10,869 人2,306 人21.2 %
令和3年秋期16,255 人11,713 人2,359 人20.1 %
情報処理安全確保支援士試験(情報セキュリティスペシャリスト試験)の受験者データ
情報処理安全確保支援士試験 合格率の推移のグラフ画像
情報処理安全確保支援士試験 合格率の推移のグラフ (クリックで拡大・高解像度表示)

情報セキュリティスペシャリスト試験の頃は 15 % 前後で推移していた合格率ですが、支援士試験が始まってからは右肩上がりで令和3年度には 20% を超えました。

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情報処理安全確保支援士試験の難易度

ここからは、IT 関係の実務未経験の私が独学で支援士試験に合格した経験を基に、私が感じた支援士試験の難易度を複数の視点から紹介していきたいと思います。

試験出願時点での基礎知識は以下の通りです。

出願時点での基礎知識等
  • IT 関連の実務経験は一切無し。IT 関連の取得資格も無し。
  • 以前からネットワークやセキュリティ、プログラミングなどの情報技術には興味があったので趣味で勉強していた。この段階で得ていた知識が非常に役立った。

情報セキュリティスペシャリストから支援士になり難易度が下がった?

支援士試験の難易度は高度情報処理技術者試験 (ITスキル標準 レベル4) と同等とされていますが、支援士試験の前身である情報セキュリティスペシャリスト試験やその他のスペシャリスト系試験 (ネットワーク、データベース、エンベデッドシステム) と比較すると、出題範囲は若干広いものの、求められる技術レベルは初歩的なものであると感じました。

出題範囲としては、情報セキュリティ技術を語る上で不可欠な暗号技術、認証技術、攻撃手法とその対策などに加えて、ネットワークの基礎知識やプログラミングの基礎知識、データベースのセキュリティ対策、情報セキュリティマネジメント (ISMS、ISO 27001) など幅広いジャンルの知識が求められます。

しかし、それらの技術・知識を深く掘り下げるような問題は出題されないため、要点のみを抑えた浅い知識で試験に臨んでも、文章の読解力だけで合格することができます

技術的なことを知らなくても、文脈から判断して答えを導き出せるのです。

また、さきほどご紹介した支援士試験と情報セキュリティスペシャリスト試験の合格率の推移のグラフを見ても分かる通り、支援士試験の制度が始まってからの合格率は右肩上がりです。

日本政府は「サイバーセキュリティ人材育成総合強化方針」において「2020 年までに 3 万人超の有資格者の確保を目指す」としているため、試験の難易度と採点基準を調整することで合格者数を増やそうとしている段階なのかもしれません。

最新のサイバーセキュリティに関する知識・技能を備えた、高度かつ実践的な人材に関する国家資格である「情報処理安全確保支援士」の創設に係る取組を進め、平成 32 年までに3万人超の有資格者の確保を目指す。

サイバーセキュリティ人材育成総合強化方針 | 内閣サイバーセキュリティセンター

もちろん、最近の試験の合格率が偶然高かっただけで、次回の試験では大きく合格率が下がる可能性もあります。

2019/12/20 追記

令和元年度 秋期試験の合格率はさらに上昇し、(当時)過去最高の 19.4 %でした。
本格的に難易度が低下傾向にあることが伺えます。

2022/03/06 追記

令和3年度の試験は2回とも合格率が 20% を超えました。
今後もこの水準で推移することが予想されます。

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合格に必要な勉強期間

情報技術全般や情報セキュリティに関する基礎知識をどれだけ持っているかによって、支援士試験に合格するために必要な勉強期間は大きく変わってきます。

IT 業界、とくに情報セキュリティ界隈で働いている方なら試験対策をせずに合格できる人も居るでしょう。その他の IT 業界の方なら数週間 ~ 1,2ヶ月程度の勉強期間が必要でしょう。

情報セキュリティについて学習したことがなく、暗号技術や攻撃手法などの用語など全く知らないというレベルから始めると数ヶ月から1年以上の勉強期間が必要でしょう。

支援士試験の受験者の中には趣味で情報技術を勉強している人も多いと思いますが、このように全くの初心者ではない人は数週間 ~ 半年程度の勉強期間が必要になるのではないでしょうか。

ちなみに私もこのパターンで、約1ヶ月ほど試験対策を行いました。

私が支援士試験に独学で合格した際に使用した参考書や勉強方法は「情報処理安全確保支援士に独学で合格できるお勧め参考書と勉強方法」で紹介しています。

支援士試験に合格するためには、情報セキュリティの技術・知識に加えて文章の読解力と解答を 15 ~ 50 文字程度に簡潔にまとめる論述力が必要です。

午後Ⅱ試験では限られた時間内に A4 用紙 10 ページ分くらいの問題文を読んで解答しなければならないので、文章読解・論述が苦手な方は上述した期間より長い勉強期間が必要になるでしょう。

他の試験区分との難易度比較

ネットワークスペシャリスト試験との難易度比較

支援士試験の難易度を同じ高度情報処理技術者試験に分類されるネットワークスペシャリスト試験と比較するとどちらが難しいのでしょうか。

結論から言うと、ネットワークスペシャリスト試験の方が難しいと考えます。

その理由は大きく2つあります。


1つ目の理由は、ネットワークスペシャリスト試験は支援士試験とは違って文章力だけでは対応できない問題が多いからです。

支援士試験が “情報セキュリティ技術をメインとした情報技術に関する広く浅い知識” と “並程度の文章読解力” で合格できることは本記事内に記載した通りです。

一方、ネットワークスペシャリスト試験は、試験範囲はネットワーク技術に限定されるものの、知識レベルはそれなりに高いものが要求されます。

いくら優れた文章読解力を持っていてもネットワークに関する知識がなければ太刀打ちできない問題が多い試験です。

そのため、支援士試験よりネットワークスペシャリスト試験の方が試験対策に必要な時間も長くなり難易度が高いと言えます。


2つ目の理由は、試験問題の出題方法の違いにあります。

支援士試験の設問は下図 (a) のように「解答群の中から選び、記号で答えよ」や「問題文の語句を用いて答えよ」という問題が多いのに対して、

支援士試験の設問例の画像
(a) 支援士試験の設問例

ネットワークスペシャリスト試験の設問は下図 (b) のように「適切な字句を答えよ」という問題が多いのです。

ネットワークスペシャリスト試験の設問例の画像
(b) ネットワークスペシャリスト試験の設問例

前者はうろ覚えの知識や当てずっぽうでも正答する可能性があるのに対し、後者は正確な知識がなければ正答は難しいですよね。

出題方式を比較しても支援士試験よりネットワークスペシャリスト試験の方が難易度が高いことがお分かりいただけると思います。

私が支援士試験の対策として過去の試験問題を解き始めた頃にこんなツイートをしていました。
実際に試験問題を解いてみたらすぐに差を感じるほど難易度に差があります。

応用情報技術者試験との難易度比較

続いて、 ITスキル標準 レベル3である応用情報技術者試験と難易度を比較してみます。

情報処理安全確保支援士試験ITスキル標準 レベル4なので、支援士試験のほうが高度な試験という位置づけですが、実際の試験の難易度はどれくらい違うのでしょうか。

結論としては、支援士試験の難易度は応用情報技術者試験より少しだけ高いです。

まず午前問題を比較してみます。

支援士試験の「午前Ⅰ」の問題は応用情報技術者試験の「午前」問題の使い回しですので、両者の難易度は全く同じです。

支援士試験の「午前Ⅱ」の科目には、情報セキュリティに関する問題が出題されます。

午前Ⅱ科目の対策のために情報セキュリティに関して少し踏み込んだ内容を勉強しなければいけない分、午前問題については支援士試験のほうが難易度が高いと言えるでしょう。

ただし、応用情報技術者試験の午前問題 (=支援士試験の午前Ⅰ問題) も支援士試験の午前Ⅱ問題も、ほぼ過去問の使い回しなので試験として機能しておらず、対策は非常に容易です。

続いて、午後問題を比較します。

応用情報技術者試験の午後問題は問1の必須問題に加えて、それぞれジャンルの違う問2~ 11 までの 10 問中4問を選択して答える形式です。

応用情報技術者試験の午後問題の問題一覧の画像
応用情報技術者試験の午後問題のジャンル一覧

支援士試験には午後Ⅰと午後Ⅱがあり、全ての問題が情報セキュリティ絡みの問題ですが、ネットワークやプログラミングに関する知識も若干必要です。

応用情報技術者試験の問 1 は情報セキュリティに関する問題ですので、この問題と支援士試験の午後問題を比較してみました。

結論としては、情報セキュリティに関する問題については支援士試験の方が出題される技術レベルの面でも、出題形式の面でも難易度が高いと感じました。

まず技術レベルですが、応用情報技術者試験の問題は情報セキュリティに関する非常に初歩的な問題ばかりで、支援士試験の午後問題と比べると非常に簡単です。

たとえば、下図の画像は設問と関係する部分のみを抜き出したものです。

応用情報技術者試験の情報セキュリティに関する問題例の画像
応用情報技術者試験の情報セキュリティに関する問題例

(1)「d」は「エ  SPF」、「e」は「カ  送信元」、(3)「h」は「SQLインジェクション」ですが、
さすがに支援士試験の午後問題にここまで初歩的な問題はめったに出題されません。

応用情報技術者試験の情報セキュリティに関する問題のレベルは、支援士試験の午前Ⅱの問題のレベルに近いと考えると良いでしょう。

実際に、支援士試験の午前Ⅱに次の図のような SPF に関する問題が出題されています。

支援士試験の午前Ⅱの問題例の画像
支援士試験の午前Ⅱの問題例

次に出題形式の面での応用情報技術者試験と支援士試験の難易度の違いです。

支援士試験なら「◯◯文字で述べよ」と記述式で解答させるような設問が、応用情報技術者試験では下図のように「解答群の中から選び、記号で答えよ」と選択式になっていることが多いです。

応用情報技術者試験の情報セキュリティに関する問題例の画像
応用情報技術者試験の情報セキュリティに関する問題例

以上のことから、情報セキュリティに関する問題は明らかに支援士試験の方が難易度が高いと結論づけましたが、これだけでは支援士試験と応用情報技術者試験の難易度の比較にはなりません

前述した通り、応用情報技術者試験の午後問題は情報セキュリティ以外にも 4 つの分野の問題を選択して解答しなければなりません。

ネットワーク、データベースなどの分野の問題もスペシャリスト試験の午前Ⅱのレベルの知識が問われるのだとすると、それなりの勉強量が必要になります。

総合的に判断して、支援士試験と応用情報技術者試験を比較すると支援士試験の方がやや難易度が高いと言えるでしょう。

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支援士試験の IT スキル標準レベルは 3.5 くらい?

インターネット上では、支援士試験を本来のレベル4ではなく、実際には存在しないレベル 3.5 と揶揄する記述が見られます。

確かに、レベル4のネットワークスペシャリスト試験やデータベーススペシャリスト試験よりは簡単で、レベル3の応用情報技術者試験よりやや難しい程度だとすると、レベル 3.5 というのは的を射た表現だと思います。

本記事内にも書いた通り、支援士試験の合格率は右肩上がりの状態で令和3年度の試験では2回とも合格率が 20 % を超えました。

ちなみに、応用情報技術者試験の最近 15 回分の試験の平均合格率は 21.8 % です。極端に合格率が高い回や低い回もなく、19 ~ 24 % の間を推移しています。

もちろん受験者の母集団のレベルの差などもありますので、合格率だけで難易度を測ることはできません。

しかしながら、受験者に「支援士試験は他の高度試験 (レベル4試験) より明らかに簡単だ」という印象を持たれていることは確かです。

支援士試験は国内最難関の情報セキュリティ資格?

Wikipedia の情報処理安全確保支援士試験の項目には次のような文言があります。

情報処理安全確保支援士は政府機関、情報機関、研究機関等と連携し、組織的サイバー攻撃から日本の重要産業を守る重要インフラ防護の役割が期待されている。

(略)

試験の水準は高く、情報セキュリティに関する資格試験では国内最難関にあたり、実務経験者であっても合格するのは難しい試験として広く認知されている

情報処理安全確保支援士 – Wikipedia

確かに日本国内の団体が実施する情報セキュリティに関する資格としては支援士試験は最難関なので前半は間違いありません。

そもそも国内における情報セキュリティ資格自体が IPA (情報処理推進機構) の実施する「情報セキュリティマネジメント試験」と「情報処理安全確保支援士試験」の2種類しかないので、最難関だなんだと語ること自体が不毛だと感じます。


以上、情報処理安全確保支援士試験の難易度についてご紹介しました。

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IT業界未経験の私が独学で支援士試験に合格した際に使用した参考書や勉強方法は「情報処理安全確保支援士に独学で合格できるお勧め参考書と勉強方法」で紹介していますので、これから受験される方はよろしければ参考にしてください。

また、当ブログでは登録セキスペ制度についても記事にまとめています。

ご存じの方も多いと思いますが、支援士試験に合格しただけでは「私は情報処理安全確保支援士です」と名乗ることはできません。

支援士試験には「登録セキスペ制度」というものがあり、講習の受講後に登録を受けて初めて情報処理安全確保支援士(略称:登録セキスペ)として活動できるのです。

支援士試験合格後に登録することのメリット・デメリットについては「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の維持費とメリットは?」で考察していますので、ご興味があればご覧ください。

情報処理安全確保支援士試験の関連資格

支援士試験合格後にネットワークスペシャリスト試験を目指される方には以下の記事が参考になるかもしれません。

IPA (情報処理推進機構) の試験だけでなく、実務の現場で使用されるベンダー機器固有の技術等について学べるベンダ試験の受験を検討しても良いでしょう。

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