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設備管理業界、通称「ビルメン業界」で働く上で必要な4つの資格が「ビルメン4点セット」と呼ばれるようになって久しいですが、2023 年(令和5年) の現在でもビルメン4点セットは需要があるのでしょうか?
この記事では、ビルメン4点セットの取得優先順位、それぞれの資格の難易度と需要、取得するメリットなどを設備管理業界で働いていた経験のある著者が解説します。
ビルメン4点セットとは?
ビルメン4点セットとは、ビルメン業界 (設備管理業界) で働く上で取得しておくことが望ましい4つの国家資格の総称です。
ビルメン4点セットの取得優先順位とその理由
取得の優先順位
ビルメン4点セットを取得する上での優先度、取得する順番のお勧めは以下の通りです。
1位:第二種電気工事士
2位:第三種冷凍機械責任者
同率3位:二級ボイラー技士、危険物取扱者乙種4類
この順位をつけた理由と個々の資格の需要、難易度を見ていきましょう。
第二種電気工事士
第二種電気工事士 | ||
優先度 | ★★★★★ ★★★★☆ (9/10) | |
難易度 (筆記) | ★☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ (1/10) | |
難易度 (技能) | ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆ (3/10) | |
需要 | ★★★★★ ★★★☆☆ (8/10) | |
公式サイト | 電気技術者試験センター |
資格の需要の高さおよび受験機会の面でも、まず優先して取るべきなのは第二種電気工事士です。
ビルメンが大掛かりな配線入替えや施工などを伴う電気工事をすることは滅多にありません。
しかし、コンセントやブレーカーを少しいじったり照明器具等を数台交換する程度の軽微な電気工事士は自前で行う現場が多いため、第二種電気工事士の資格の需要は非常に高いと言えます。
試験の難易度ですが、筆記試験の難易度は易しいです。過去問を数年分解いて理解しておけば問題なく合格できるでしょう。
毎年計算問題が7~ 10 問程度主題されますが、計算問題が苦手な方は全て捨ててしまっても他の問題ができれば合格できます。
筆記試験対策にお勧めの参考書や勉強方法、計算問題が苦手な方向けの受験戦略などは「第二種電気工事士の筆記試験に独学で合格できるお勧め参考書と勉強方法」の記事でご紹介しています。
技能試験は人によって難易度の感じ方が別れるところですが、練習を積んでおいて本番で焦らなければ確実に合格できます。ただし、練習に一定期間が必要なので余裕を持って準備する必要があります。
「第二種電気工事士の技能試験に独学で合格できるお勧め参考書と練習方法」の記事では、技能試験対策にお勧めの参考書、練習時に注意すべき点、技能試験を有利に進められる時短工具など、電気工事士技能試験に合格するための情報が詰まっているので是非参考にしてください。
第三種冷凍機械責任者
第三種冷凍機械責任者 | |
優先度 | ★★★★★ ☆☆☆☆☆ (5/10) |
難易度 | ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆ (2/10) |
需要 | ★☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ (1/10) |
公式サイト | 高圧ガス保安協会 |
業務用の空調や冷凍庫などに使われる冷凍機械と呼ばれる設備を管理するための資格です。
近年ではこの資格を必要としない現場も多いので需要は低下傾向です。
需要は低いのに優先度が高い理由は、受験機会が年に1度、毎年11月だけだからです。
受験機会の多い危険物乙4と受験時期が被った場合は 冷凍機械責任者 を優先すべきです。
資格自体は必要でない現場でも早く取得したい理由がありますよね。資格手当とか。
それは冗談ですが、現場で資格が必要なくても、例えば空調設備の不具合を外部業者に直してもらって原因や対応策などの説明を受ける際に、専門用語がちんぷんかんぷんでは流石に恥ずかしいですからね。
資格が必要ない現場で資格手当が貰える理由もここにあると思います。
難易度ですが、過去問を数年分理解しておけば受かりますので易しいレベルです。
3日間の講習を受ければ筆記試験の「法令」以外が免除される制度もありますが、講習費用が高いので、第一種を受験するならまだしも、第三種や第二種程度では必要ありません。
冷凍機械責任者試験の対策にお勧めの参考書や講習の必要性については以下の記事でも紹介しています。
二級ボイラー技士
二級ボイラー技士 | |
優先度 | ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆ (3/10) |
難易度 | ★☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ (1/10) |
需要 | ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆ (3/10) |
公式サイト | 安全衛生技術試験協会 |
こちらも冷凍機械同様、資格が不要の現場が増えてきていますので、資格の需要自体は低下傾向です。
ですが、やはりビルメンとして知っておきたい知識が学べるので取得しておくべきでしょう。
筆記試験は全国各地でほぼ毎月実施されていて、試験内容も過去問の類似問題ばかりですので難易度は易しいです。
ボイラー取り扱いに関する実務経験の無い人がボイラー技士の免許を受けるためには、3日間のボイラー実技講習を受ける必要があります。
3日間拘束される、講習費用が高額という理由から、可能ならビルメン会社に入ってから会社に費用を出してもらって取得するのが良いでしょう。
危険物取扱者 乙種4類
危険物取扱者 乙種4類 | |
優先度 | ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆ (2/10) |
難易度 | ★☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ (1/10) |
需要 | ★☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ (1/10) |
公式サイト | 消防試験研究センター |
危険物乙4はビルメンにとって必須の資格のように言われがちですが、あまり需要はありません。
そもそもなぜビルメンに危険物取扱者 乙種4類が必要なのかという話ですが、ボイラーの燃料として重油が使われていて、重油を保存管理するためには危険物取扱者の乙種4類が必要だからです。
上述したようにボイラーを設置している現場が減少している現状では、危険物取扱者乙種4類の需要も同様に低下しています。
さらに、全国各地で年に数回受験できるという受験機会の多さ、数日の勉強で合格できる程度の難易度の易しさから、いつでも誰でも簡単に取れるということで、取得していても就職や転職における優位性はほぼ無いので、取得の優先度も低いです。
危険物取扱者試験の対策にお勧めの参考書、試験の難易度・合格率などは以下の記事で詳しく紹介しています。
ビルメン4点セットより消防設備士を取ろう
個人的には、ビルメン4点セットとしてこの4つを示すのはもう古く、需要の少ない冷凍機械責任者を外して新たに消防設備士を加えるべきだと考えています。
もしくは4点セットに消防設備士を加えて「ビルメン5点セット」とするのが良いのではないでしょうか。
仮に消防設備士をビルメン4点セットに加えた場合、まず最初に取得すべき資格が第二種電気工事士であることは変わりませんが、2番目に取得すべき資格は消防設備士になります。
消防設備は「ビルメンが駐在する現場で消防設備が設置されていない現場は存在しない」と言って良いほど重要な設備です。
消防設備士は取り扱える設備ごとに1類~7類に特類を加えた全8種類に分類されています。
1類では消火栓・スプリンクラー等、4類では火災報知設備や火災通報装置、5類では避難器具、6類では消火器など、身近な設備に関する知識が学べます。
私が消防設備士試験に合格した際の勉強方法とお勧めの参考書、お勧めの取得順などは以下の記事でご紹介しています。
資格の需要はともかく知識は必須
ビルメン4点セットと呼ばれる資格のうち第二種電気工事士以外の3つの資格の需要は高くないですが、ビルメンとしては知っておくべき知識が学べる資格ですので、しっかり勉強して取得しておきたいところです。
実際に施工管理を行うのはそれぞれの設備を専門とする会社ですが、何か異常が起こった際に現場で一次対処を行うのはビルメンですので、広く浅く色々な知識を身につけたいですね。