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応用情報技術者試験の合格率の推移と難易度・勉強時間の目安

応用情報技術者

米造
米造

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応用情報技術者試験は、高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもつ、初心者よりワンランク進んだ技術者であることを証明できる資格とされています。

入門資格である基本情報技術者試験をクリアしてさらに上を目指す方、すでに基本レベルの知識は持っていてIT系資格の初受験が応用情報技術者試験の方、情報技術については学んだことがないけれど応用レベルから挑戦したい方など受験者の属性は様々で、難易度についての情報も錯綜しています。

この記事では、2022年 (令和4年) 現在の応用情報技術者試験の合格率の推移から見る難易度、受験者の属性ごとの合格するために必要な勉強時間の目安のほか、基本情報技術者試験との難易度の違いについて、2つの高度情報処理技術者試験に合格している著者が解説します。

IT未経験からでも応用情報技術者試験に合格できるお勧め参考書や勉強方法、受験戦略は「応用情報技術者試験に独学で合格できるお勧め参考書と勉強方法」の記事でご紹介していますので合わせてご覧ください。

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応用情報技術者試験の合格率の推移

年度 応募者数 受験者数 合格者数 合格率
平成21年春期56,141人36,653人9,549人26.10%
平成21年秋期62,294人41,565人8,908人21.40%
平成22年春期65,487人42,338人8,592人20.30%
平成22年秋期66,241人43,226人9,898人22.90%
平成23年春期62,116人37,631人7,745人20.60%
平成23年秋期56,085人36,498人8,612人23.60%
平成24年春期55,253人35,072人7,945人22.70%
平成24年秋期57,609人38,826人7,941人20.50%
平成25年春期52,556人33,153人6,354人19.20%
平成25年秋期54,313人34,314人6,362人18.50%
平成26年春期47,830人29,656人5,969人20.10%
平成26年秋期51,647人33,090人6,686人20.20%
平成27年春期47,050人30,137人5,728人19.00%
平成27年秋期50,594人33,253人7,791人23.40%
平成28年春期44,102人28,229人5,801人20.50%
平成28年秋期52,845人35,064人7,511人21.40%
平成29年春期49,333人31,932人6,443人20.20%
平成29年秋期50,969人33,104人7,216人21.80%
平成30年春期49,223人30,435人6,917人22.70%
平成30年秋期52,219人33,932人7,948人23.40%
平成31年春季48,804人30,710人6,605人21.50%
令和元年秋季50,643人32,845人7,555人23.00%
応用情報技術者試験の合格率の推移のグラフ
応用情報技術者試験の合格率の推移のグラフ (クリックで拡大・高解像度表示)

応用情報技術者試験の難易度

応用情報技術者試験は ITスキル標準「レベル3」

ITスキル標準とは、経済産業省が定めている個人のIT関連能力を職種や専門分野ごとに明確化・体系化しIT人材に求められるスキルやキャリア(職業)を示した指標のことです。

応用情報技術者試験は、情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験の上位レベルとなる「レベル3」に位置します。

ITスキル標準 資格名
レベル 4 高度情報処理技術者試験(ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト ほか)、情報処理安全確保支援士試験
レベル 3 応用情報技術者試験
レベル 2 基本情報技術者試験情報セキュリティマネジメント試験
レベル 1 ITパスポート試験

試験の出題分野は技術的な問題のみならずマネジメント、経営戦略など多岐にわたります。

応用情報技術者試験の出題分野
  • テクノロジ系(コンピュータ科学基礎・ハードウェア・稼働率・ソフトウェア・論理回路・データベース(SQL、正規化)・ネットワーク・セキュリティ・設計)
  • マネジメント系(DFD・開発規模、工数など)
  • ストラテジ系(全体計画立案・業務改善・契約タイプ・経営戦略・ABC分析・利益や費用の計算・関係法規など)

合格率から見た難易度

応用情報技術者試験の合格率は 20 %台前半で推移しており、合格率だけを見た場合の難易度は「やや難しい」レベルです。

ただし、受験者の多くはIT関係の職に就いている人、大学の情報・工学関係の学部で学んでいる人、基本情報技術者試験に合格できる程度の知識を持っている人であることを考慮すると、合格率の数値だけを根拠に難易度を語ることは避けたほうが良いでしょう。

基本情報技術者試験と比較した難易度

下位資格という位置づけの基本情報技術者試験と比較した場合の難易度はどの程度でしょうか。

前述したように、そもそも応用情報技術者試験の受験者の多くは基本情報技術者試験に合格できる程度の知識を持っていることや、資格の公式な位置づけ(上下関係)などを考えると、応用情報技術者試験のほうが難易度が高いと考えるのが妥当でしょう。

しかしながら、実際の試験内容を比較したとき、応用情報技術者試験より基本情報技術者試験のほうが難易度が高いという意見がネット上に一定数あるのでご紹介します。

まず午前試験の難易度を比較します。

前述した通り応用情報技術者試験 (以下、応用情報)と基本情報技術者試験(以下、基本情報) の試験範囲はほぼ同じで、公式には応用情報のほうが深く掘り下げた問題が出題されるため難しいということになっています。

ところが、実際の試験問題は用語の意味を問うたり簡単な計算をさせるだけの単純な問題ばかりで、その半分近くが過去問題の使いまわしという手抜き試験なのです。

これは応用情報も基本情報も同じで、両者とも何も考えずに過去問を反復演習して丸暗記するという勉強方法で合格できてしまうのです。

つまり、午前試験の実際の難易度については応用情報と基本情報にほとんど差はありません。

そうなると難易度の差が出るのは午後試験ということになります。

午後試験の試験問題を比較すると、応用情報と基本情報で大きく異なる点が2点あります。

まず1つ目は、出題形式の違いです。

応用情報は下図Aのように解答を記述させる方式で出題されるのに対して、基本情報は下図Bのように必ず解答の選択肢が用意されています。

応用情報技術者試験の出題例
図A. 応用情報技術者試験の出題例。選択式ではなく記述式で出題されている
基本情報技術者試験の出題例
図B. 基本情報技術者試験の出題例。設問は全て多肢選択式となっている

出題形式の比較では、明らかに応用情報のほうが基本情報より難しいことが分かります。


応用情報と基本情報で異なる点の2つ目は出題内容です。

問1で「情報セキュリティ」分野の必修問題が出題されることは応用情報と基本情報で共通していますが、問2以降に大きな違いがあります。以下の出題内容のまとめを見比べてみてください。

応用情報技術者試験 午後試験の出題範囲と設問の概要

応用情報技術者試験の午後試験は全11問中5問解答。問1 (情報セキュリティ) が必修。
問2~問5までの残り4問は以下の10問 (10分野) から選択して解答する。

  1. ストラテジ分野全般
  2. プログラミング
  3. システムアーキテクチャ
  4. データベース
  5. ネットワーク
  6. 組込みシステム開発
  7. 情報システム開発
  8. プロジェクトマネジメント
  9. サービスマネジメント
  10. システム監査
基本情報技術者試験 午後試験の出題内容と設問の概要

基本情報技術者試験の午後試験は全13問中7問解答。以下の3問が必修。

  • 情報セキュリティ
  • データ構造及びアルゴリズム
  • ソフトウェア開発(プログラミング)

残る4問は以下の6問 (6分野) から選択して解答する。

  1. ソフトウェア
  2. データベース
  3. ネットワーク
  4. ソフトウェア設計
  5. プロジェクトマネジメント
  6. 経営戦略・企業と法務

出題内容を比較すると、必修問題が多く選択問題が少ない基本情報の方が対策しづらいことは想像できると思いますが、注目すべきは必修問題の数ではなく内容です。

基本情報の午後試験で必修の「データ構造及びアルゴリズム」と「ソフトウェア開発(プログラミング)」は技術色の強い問題が出題されるため、IT未経験者にとっては難しく対策に時間がかかる分野です。

応用情報の午後試験でも「プログラミング」と「組み込みシステム開発」の分野は技術色が強めの問題が出題されますが、これらは選択問題であるため受験しなくても合格できます。

先ほど述べた「応用情報より基本情報のほうが難易度が高い」という意見の根拠はここにあります。

要するに、応用情報は技術色が強く難しい科目を選択せずに暗記系の科目だけで合格できるのに対して、基本情報はアルゴリズムやプログラミングの勉強が必須で対策が難しいから基本情報のほうが難易度が高いと主張しているのです。

私もこの意見には一理あると思いますが、前述したように出題形式に着目すると、基本情報はうろ覚えでも解答できる選択式であるのに対して応用情報はしっかりと理解していないと解答できない記述式であるため、一概に出題内容だけで難易度の上下関係を決めることは難しいと考えています。

この意見も踏まえると、応用情報の難易度については以下のように言えるでしょう。

  • 基本情報の合格者が応用情報を受験する場合はそれほど長期間の対策は必要ない
  • 初めてのIT系資格の受験が応用情報であっても、午後試験で難易度の高い分野を選択しなければ独学で合格することは十分可能

IT未経験からでも応用情報技術者試験に合格できるお勧め参考書や勉強方法、受験戦略は「応用情報技術者試験に独学で合格できるお勧め参考書と勉強方法」の記事でご紹介しています。

合格するために必要な勉強時間の目安

基本情報技術者試験合格者の勉強時間の目安

午前試験 50 ~ 100 時間、午後試験 50 ~ 100 時間程度で合計 100 ~ 200 時間程度が目安となるでしょう。

目安の幅が広すぎてもはや目安とは言えないかもしれませんが、それだけ試験範囲が広く、受験者の予備知識次第で合格に必要な勉強時間が大幅に変化する試験だということです。

未経験者の勉強時間の目安

前述したように応用情報技術者試験は試験範囲が広く、受験者の予備知識や記憶力・理解力次第で合格に必要な勉強時間が大幅に変化するため「これだけ勉強すれば合格できる」という基準は示せません。

ネット上では 200 ~ 500 時間程度で合格できたという体験談が多いですが、「50時間で合格できる」という意見もあれば「1,000 時間かかった」という意見もあります。

これらは全て誇張されているわけではなくリアルな意見だと思います。

これから受験される方は、「~時間くらい勉強すれば受かるんでしょ?」と短絡的に考えず、それなりに時間をかけてしっかり勉強しないと合格できないという意識を持って挑戦しましょう。

おわりに

本記事が応用情報技術者試験の受験を検討されている方の参考になれば幸いです。

未経験者でもしっかりと対策をすれば確実に合格できる試験ですのでぜひ挑戦してみてください。

IT未経験からでも応用情報技術者試験に合格できるお勧め参考書や勉強方法、受験戦略は「応用情報技術者試験に独学で合格できるお勧め参考書と勉強方法」の記事でご紹介していますので合わせてご覧ください。

応用情報技術者試験の勉強を通して情報セキュリティに興味が湧いた方は、情報セキュリティ分野に特化した入門資格「情報セキュリティマネジメント試験」もお勧めです。